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京芸創立記念式典・梅原猛氏の講演

京都芸大の創立記念式典。名誉教授の梅原猛氏の講演。京都芸術の伝統について語る。87歳とは思えぬ矍鑠たる話しぶり。以下はお話の概略。


・かつて北斎が欧米に衝撃を与えたが、現代では若冲の存在が大きくなり逆転しつつある。相国寺に奉られた三十幅の「動植綵絵」は、死骸である貝がらにまで生き生きとした生の喜びを与える。花鳥画、その根底には仏教思想が。

・京都芸大在任中の移転にまつわる話。前候補地を白紙に戻し、現在の地に移ったいきさつ。

・京都芸大の前身である京都市立絵画専門学校の第一期卒業生である村上華岳や小野竹喬など、近代画壇について。

・岡本太郎のまるで子供のように無邪気な性格について、走泥社を作った陶芸家・八木一夫との思い出。


京都の錚々たる歴史を熱く語った。

いい週末でした

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このところ涼しくて、犬の足取りも軽快。


金曜日に南座で玉三郎の公演を見た。彼しか演じることができない「阿古屋」。3つの楽器(箏、三味線、胡弓)の演奏で惹きつける。その素晴らしさは見事を通り越して唖然とさせられる。そして立居振舞、台詞回しのなんと艶やかなこと。こういう女形には二度とお目にかかれないだろう。そしてまたその円熟ぶり。まったくもって信じられない62歳。本当にこの人と同時代に生まれて良かったとしみじみ思った。幕真には素晴らしい夕焼け、感動が増幅された。


土曜日と日曜日は金沢にレッスンに出かけた。この時期楽しみなのは「岩牡蠣」。冬の牡蠣もいいが、夏の岩牡蠣にはちょっとかなわないと思う。いい週末だったなあ。



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教育実習

この時期、教育実習を終えて大学生活に戻る学生が多い。先週は研究授業の参観にも出かけた。昔と違って教職課程の授業数も増えているし、実習も3週間のところが多い。現場もたいへんだと思うが、学生たちもいろいろとたいへんな苦労をして帰って来る。

ほとんどは苦労が報われて授業をする喜び、感動を味わってくる学生が多いのだが、中には生徒たちが全然歌ってくれない、ピアノを弾いても「しら~」という目に遭ってくる子がいる。私語を注意すると「お前のピアノのほうがよっぽどうるさい」などと云われたり・・・。

義務教育で音楽を教える意味、生徒たちといかに接するべきかなど、根本的な問題を考えるよい機会ではあるのだが、同時に現代社会の抱える問題も肌で感じてくるようだ。

小学生の算数から学ぶ

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梅雨に入りました。おかげで暑さは少し緩和していて、今朝などはジャケット姿の人が多かったです。しかし湿気は確実に増えてますね。


先週は千葉にいることが多かったので、娘の勉強を少し見てやりました。今の小学生は進んでいて、算数なんか僕の時代でいうと中学生かひょっとしたら高校のときのようなネタ。方程式でやるべきものを「線分図」などを使って解いていくのだが、僕の頃にはそんなのなかったなあ。確かにすごく解りやすい。こうしてみると代数も幾何も同じに見える。

これは線分図ではないけれど、例えば50点の人が4人いて全体の平均点が42.5点だと、40点の人は何人いるか?というような問題は、50点と42.5点の差(7.5点)に4人の4を掛けて30を出して、それを縦横7.5x4の長方形と考えて、それを40点と42.5点の差(2.5)の縦と同じ面積の横の長さは何だろう、と考えるわけ(図で言うと赤と青の面積を一緒にすればいい)。


今さらながら勉強ってとても面白い。


京都薪能・平安神宮

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平安神宮で京都薪能を観る。日が沈みかけた夕景から薪に火が灯り、空が少しずつ藍に染まっていく。薪から立ち上る煙の仄かな香り。巨大な神殿を背に、竹を柱に誂って作った能舞台が時空を超えた錯覚に誘う。観客は数千人はいたのではなかろうか。壮大な図柄だ。

やがて笛、囃子。これは生音らしい。さすがにシテ、ワキは拡声している。電灯も使っているが、雰囲気を壊すほど明るくない。昔は薪の火のみの灯りで演られていたとつい想像をたくましくする。演目は「二人静」。静御前の霊が菜摘女に憑いて、神職に自らの罪深さを弔ってもらおうとする。神職は本当に静かどうかを確かめるために舞を所望する。すると憑依した菜摘女とともに霊も現れて二人で頼朝の前で舞ったであろう舞を舞う。

小一時間の演目だが、濃厚で妖艶。時候も暑くも寒くもなく、風も穏やか。帰路は月も鮮やかだった。奇跡的な環境を鳥肌を立てながら有難く味わった。

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