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東西で呑んだくれ

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蒸し暑い日があったかと思うと、急に秋の風で肌寒さを感じたり。また金木犀の香りが仄かに漂う季節。

今週は久々に大学で仕事があり、およそ2ヶ月ぶりの京都。気候がよくなったので、人出も多い。

友人が訪ねて来てくれて、一緒におばんざい屋さんへ。感じのよいご主人の手料理は、目にも美しく、優しさと温かさを感じる素朴な味わい。

楽菜おばんざい


また東京でも行きたかった呑み屋さんへ、こちらは昔の学生たちと。趣味の良いセレクトの日本酒、肴も美味い、そしてイケメン店員が最高の気配りで接客している。これは女性がたまらんだろうな。珍味6種は、余計な味付けがなく、素材の良さで味わえる、とても有り難い肴。ああ堪能。

カンフーシューズ

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日曜日に植村泰一先生の傘寿記念コンサートがあった。横浜みなとみらいホール、モーツァルトのソナタを3曲。フルートは初代ルイロット1871年、フォルテピアノはヨハン・ゲオルク・グレーバー1820年。19世紀同士の楽器。ピッチや音色の相性がいいのは、前回、東京文化会館のリサイタルでも確認できたが、今回は近代的な響きのみなとみらいホール、また違った柔らかさが感じられた。

いわゆるダンパーペダルは今回、一回も使わず、モデレーター2種類とウナコルダを使った。ペダル間の間隔が狭く、普通の靴では踏みにくい。いっそ脱いで演奏しようかと思っていたら、スタッフが中華街にカンフーシューズがあるかも知れない、と言ってくれて、わざわざ買って来て下さった。これは足のサイズにフィットして、はるかに踏みやすい。スーツでもあまり違和感なかった。

ホ短調のソナタ(KV304)のメヌエットで使ったモデレーターはクラヴィコードを思わせる音色で、曲想に合っていたと思う。スタッフからは「隠し球よかった!」と言ってもらえた。しかし、もしかしたら、この楽器の実力はサロンのような小さな部屋でもっとも発揮されるかも知れない。スタジオで練習したときの親密な音色も捨てがたいのだ。モダン・グランドピアノではホールの響きと合わせてなんぼだというのに。


祖母逝去

9月10日、娘の誕生日に母方の祖母が亡くなった。97歳。最後に会ったのは今年の正月。もう僕のことは認識できなくなっていて寂しかった。

幼少時、文字の書かれた積み木を使って、読み書きを教えてくれたのはこの祖母だった。お陰で2歳ですでに、ひらかなとかたかなは全て読めるようになっていた。街に出ると、読める文字を読むのが楽しく、漢字を飛ばして何でも読んでいたらしい。「スープは」と書かれた看板を「su・ichi・pu・ha」と読んで笑われ近所でちょと有名になったとか。

幼児の頃はいつも祖母と一緒に寝た。イソップなどの話を読んで聞かせてくれたのは今でも覚えている。ピアノも初めは(3歳くらい)トイピアノで祖母が見てくれていた。厳しくて泣きながら弾いた。小学校1年のときは、学校から帰ってくると簡単な計算問題が用意されていて、それをやってから遊びに行けと。遊びたいから、速く解こうとする。けっこう賢いやり方だったかも知れない。

この面倒見のいい祖母と小学2年生まで一緒に暮らした。三つ子の魂というが、この頃の濃密な思い出は今でも自分を支配していると思う。ばあちゃん、本当に有難う。

年末はブラームス

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12月のリサイタルのフライヤーが出来てきた。プログラムはオールブラームスで、若い作品がメイン。

1854年、ブラームスが師のように慕っていたシューマンが自殺未遂をする。ブラームス21歳のときだ。その年に書かれた2つのピアノ作品が、シューマン変奏曲(作品9)と4つのバラード(作品10)。

この2つは、僕にとっていつも寄り添っていたい作品。これを軸に、やはりブラームスの真情を強く感じるニ長調の変奏曲、そして有名なバッハのニ短調のシャコンヌを左手だけで弾くように編曲した練習曲を組み合わせた。

ニ短調で初めて、ニ長調で終わるように、バラードからスタートすることにした。プログラムに負けないくらい、いい演奏会にしたい。

フライヤーは二月空の写真。窓のシルエットがいろいろなことを象徴しているようで、気に入っている。

公演情報はこちらで。またフェイスブックページを作りました。


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