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ブラームスからのゲンツマー

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東京はまた30度。彼岸過ぎてからの暑さぶり返しは近年の恒例(やれやれ)。

昨日は浜離宮朝日ホールでクール・プリエールの定期。こちらも恒例の満席。

前半はお得意の中世アカペラもの。近年ますます磨きがかかって素晴らしい。

後半は指揮の黒岩英臣先生のご子息、黒岩悠さんのピアノソロで開け、ドイツ・レクイエム。演奏時間75分。長時間に渡る演奏会になるも、プリエールとお客さんの集中力は切れない。終演後は何度も呼び出された。

連弾伴奏のドツレクは初体験で、とても勉強になった。それにしても昨年から初ものが多く、いくつになっても新しい課題に取り組める環境は幸せなこと。

今度はミュンヘンゆかりのゲンツマー作品。11月のフルートリサイタルのメインプロ。ヒンデミットに学んだ彼の曲も初体験。楽しみ。


ドイツ・レクイエム

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今年6つめという台風が関東に向かっている。

来週は浜離宮朝日ホールでクール・プリエールの本番があり、練習に熱が入ってきた。

メインプロはブラームスのドイツ・レクイエム。オリジナルはオーケストラ+歌だが、ブラームス自身が作品全体をピアノ連弾用に編曲した自筆譜をベースに独唱・合唱をプラスした版を使う。

したがってピアノのパートはオーケストラの書き換えではない。

ピアノという楽器は、ロングトーンが苦手な楽器だ。しかもゆっくりのテンポでの連弾アンサンブルは至難の技。

ピアノ伴奏では、オーケストラに比べて比較的速めのテンポで進む場合が多いが、今回は上手いプリエールと、黒岩英臣マエストロのブラームスへの熱い思いもあり、とーっても、重厚なテンポで進む。

25日日曜日です。どうぞお楽しみに!


芦田みゆき「南南東」+クラヴィコード

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ここのところ気温がぐっと下がって、秋らしくなってきた。

先週は表参道画廊で、芦田みゆきさんの写真展の中で、クラヴィコードを弾く。

数年前に芦田さんから自作のスライドムービーに、クラヴィコードの植物文様を使わせてほしいという依頼があり、それが今回のイベントのきっかけ。芦田さんは、もともと詩をお書きになっていたが、ある時点から写真に転向され、独自の視点から作品を発表されている。

「南南東」は、鮮烈な赤が走ったというご自身の体験から導かれた写真集だが、そのタイトルはご自身の以前の詩から取られた。

地の果てを思わせる黒い地平線上に、オレンジ系の赤いヴェールをまとった女性は、幻想的な組み合わせ。立っているのもやっとという猛烈な風の中での撮影だったようだが、どこか不思議な静謐さを漂わせている。その「南南東」をはじめ、過去のスライドムービーを映写して、同時にクラヴィコードを演奏するという試みだった。

哲学者の稲垣諭さんがおっしゃっていたが、芦田さんの感覚は、当たり前の人間が当たり前に感じるもののよりも手前、もっと原始的な感覚だとのこと。それが藤枝守さんの植物の生体データをもとに作られた音楽と、楽器構造的にもっとも原始的なクラヴィコードが、何か面白い組み合わせのように思える。音楽以外の芸術と交流できる機会はそう多くはなく、とても幸せな時間だった。


法事

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9月になったが、まだまだ暑い。

先週末は祖母の法事でほぼ一ヶ月ぶりの関西。こちらの暑さはやはり格が違う。それでもピークよりはだいぶましらしい。

久々に従兄弟が揃った。僕がいちばん年長なのだが、みんな50代に突入したので、もうあまり年齢差を感じない。

母が7歳くらいのときに、祖父は戦死した。郵便局員だったようで、母が幼いころ祖父に弁当を持って行っていたという。本来通信員である郵便局員は徴兵されないのだそうだが、もう戦争終わり近くはそんなこと言ってられない状況だったのだろう。終戦直前に徴兵され、フィリピン・ルソン島で亡くなった。

残った祖母は女手ひとつで、母とその妹の叔母を育てた。もうひとり、末っ子に男の子がいたが、1歳で麻疹にかかって亡くなった。戦争直後で、医者が自分の子供のために薬をとっておくため、もらえず亡くなったと。母が抱く腕の中で亡くなったそうだ。1時間で硬くなってきたと。そして泣き続けたそうだ。火垂るの墓の世界みたい。日差しが照りつける中、祖父と祖母の面影にひたった。


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