月読(ツクヨミ)の

金曜日の京都はまた雪が降って朝は新幹線が少し遅れていた。心配したが、無事にその日に千葉へ帰る。ニュースでは鳥取の豪雪や、鹿児島でも雪が降ったと報じている。関東は大丈夫のようだが、日曜日の福岡行きも少し心配になる。

土曜日は加須で埼玉の歌姫、持木文子さんのバースデー・コンサート。よく晴れて、お客さんもたくさん入っている。しかし時節柄か、お客さんの半分以上(に見えた)がマスクしていて、ちょっと異様だった。コンサートは選曲の面白さに加えて、持木さんのお人柄がにじみ出て、大喝采。

日曜日はクラヴィコードの演奏のために飛行機で福岡へ。当日移動はさすがに緊張する。その上楽器持参だからなおさら。クラヴィコードのためにシートを確保(チェロでよくやるやつ)も初めて。少し遅れたものの無事に到着し安堵。会場の松楠居へ。趣きのある日本家屋。その2階の広い部屋が会場。広いと言っても、お客は30人程度が限度。そこで八女茶にまつわるいろいろなイベントが行われるが、クラヴィコードの「茶の植物文様」もその中のひとつ。この新作は、簡素さと複雑さ、静謐さと外連が同居し、ある意味、お茶的な性格を反映しているかも知れない。

イベントの最後は、「月読の夜想茶会」。中川佳代子さんの三味線、お箏に始まり、それに笙やガムラン舞が加わり、十六夜(いざよい)を迎える「夜想茶会」の雰囲気が高まる。武内貴子さんの松と結った糸を用いて作られたインスタレーションも趣きを添えている。

そして茶酒房「万」(yorozu)の亭主、徳淵卓さんによってお茶が淹れられる。美しい所作で、ゆっくりと煎られた玉露の香りが会場じゅうに、おだやかに広がっていく。

初めていただいた星野の焙茶は、何と言ったらいいだろう、優しくさりげないのだが、奥行きが深い。茶をテーマに広がっていく世界。

打ち上げ終わって表に出ると、いざよいの月がお出迎え。

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