先週土曜日、知人宅で新規購入されたペトロフのグランドピアノを試弾。チェコの伝統あるピアノ・メーカー。想像していたのは渋い音色だったが、それに反し、とても明るく伸びやかな音色。先日弾いたグロトリアンとも少し通じる。特に高音の鳴りっぷりは、予想外。スタインウェイやベーゼンドルファーとはまた違った方向性の、しかし、ヨーロッパの伝統を感じる、艶のある音で感心した。
日曜日は、恩師小林仁先生の傘寿のお祝いで、表参道のカワイ・パウゼへ。3年前、喜寿のお祝いでは、ベートーヴェンの32の変奏曲を32人でリレーするというユニークな企画だったが、今回はさらにその上を行く、ディアベリ変奏曲の「ごった煮」。演奏者はそれぞれ以下の中から曲を選択する。
1)ディアベリが50人の作曲家に依頼した変奏曲集から
2)ベートーヴェンの33のディアベリ変奏曲から
3)自作変奏曲
結局、小林先生も含めて36人が演奏。先生はテーマと最後に自作、そして短いコーダ。作曲家の大澤徹訓さんの変奏曲は、4人の作曲家のパロディ調のもので奥様が演奏された。他にもお二人自作を披露。ベートーヴェンは3人がお弾きになった。僕はシューベルトを弾かせてもらった。
しかし、この中でやはりベートーヴェンの曲は特別な光を放っているとあらためて感じた。曲を知っているということだけでなく、ベートーヴェンの刻印が神々しい。
それから小林仁先生のソロ演奏。バッハ平均律第1巻のロ短調はさすがの説得力。長いフーガの喜遊部がたまらなく美しく、癒される。他にドビュッシーの前奏曲とグリーグの抒情小曲集。慈しむような演奏。
他にも門下生の演奏、飛び入りなどもあり、楽しいひとときを過ごした。