現代の音楽展2016

このところコンテンポラリーのレポートみたいになってます(笑)。

日曜日、オペラシティ・リサイタルホールで行われた現代の音楽展へ。ゲストは高橋アキさん。前日の土曜日に行われた公開レッスンの成果発表から始まり、「シューベルトとコンテンポラリー」と題されたシンポジウムが続く。

パネリストは近藤譲さん、沼野雄司さん、松平敬さんで、司会が佐藤昌弘さん。沼野さんの提示されたシューベルトのセクシャリティをめぐる論文の話が面白い。

(ここからは沼野さんの発言ではなく僕なりの解釈であるが)音楽において修辞学や説得力などが主な関心事であった18世紀は、結果として音楽にファルス(男根)的享楽の要素が強まる。すなわち音楽が欲望に向かって進むように形成されていくようになる(ベートーヴェンはその象徴と言えるらしい)。ところがシューベルトはそれに依っていないという。シューベルトの音楽と従来の音楽との相違点はそこで、そのことが彼のセクシャリティの研究へと繋がり、また現代の音楽表現の分析へ繋がっていく。

シューベルトの音楽は素晴らしいが、その魅力の本質って何なのだろう?といつも思っているが、ひとつの興味深い視点だと思った。


メインは高橋アキさんのリサイタルで、シューベルトのD935をモティーフにしたベリオの「水のピアノ」で始まり、浅野藤也さん「祈り~ピアノのために」、北爪やよひさん「ÉNEK Ⅺ for Pianist ~そのときどきの~」、松平頼暁さん「ピアニストのためのアルロトロピー」、湯浅譲二さん「内触覚的宇宙Ⅱ・トランスフィギュレーション」と続く。そして後半はシューベルトのD960。

シューベルトとコンテンポラリーを組み合わせた、ちょっと他にないプログラムで楽しめた。

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made by satoru sunahara