Was man über Musik wissen muß

「音楽について人が知るべきこと」。まんまですが、ドイツで使われている楽典の教科書。今日、都内の私立高校の要請で、大学からの出張授業に行ってきました。高校生だと、もしかすると楽典を習っていない可能性もあると思い、20年前に買ったこの本を読み返してみると、なかなか面白い。日本の楽典の本と、持って行き方が違う。


例えば音程。日本の楽典の本だと、まず比べる音同士を幹音(変化記号のないナチュラル音)にしてから音程を導きだした後に変化音を考慮して、最終的な音程を割り出す。

ドイツのやり方だと、先に音階を紹介してから、もとの音の長音階上にある音程は完全音程または長音程になることを説明する。


例えばミ♭ーソの音程。日本流にやると、ナチュラルのミーソの音程をまず調べ、この中にミーファの半音が入っていることからいったん短3度と判定、その後♭を加味して半音広い長3度と断ずる。ドイツ流は、♭を取らずに変ホ長調上にソがあるかどうかを調べる。ソは変ホ長調上の音なので、すんなりと長3度とわかる。このほうが絶対早いし、感覚的でもあると思います。だからドイツでは教える順番も音階ー音程となるのですが、日本の本は音程ー音階の順が多いのです。


旋律の調判定のような項目もこの本にはありません。和声なしに、旋律だけで調性を判定する状況があまり現実的でないからだと思います。


この本は総ページ数64ページ。しかもB6サイズ。音楽の基礎をコンパクトに!という感じがするんです。基礎だからこそ大切。こういう本が翻訳されてほしいです。


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