エラールのピアノ

コンサートのページにはアップしていませんが、31日にフルートのコンサートがあり、その際1840年代のエラールのピアノを使うことになり、昨日そのピアノを初めて触りました。


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弾く前は、少し重い感じのタッチと、くすんだ音色を想像していたのですが、予想はまるではずれ。フォルテピアノ特有のまろやかな音色をもちながらもきらきらと華やかさをもち、アクションもきびきびしていて、速いパッセージがたいへん奇麗に弾けます。「ダプルレペティション」という、現在のピアノにも採用されている(エラール1809年に発明)アクション機構がすでに装備されており、そのせいもあって連打が素早くいくのです。音量も豊かで、これならモーツァルトから近代まで広いレパートリーをカバーできるでしょう。要するにメンテナンスがすばらしいのです。

弦は平行に張られており(現在のピアノは交差弦)、鋼鉄フレームを使った初期のもので、現在のようにフレームが全体を覆うのではなく、弦を張るために部分的に使われている。


練習に伺った工房には、ブラームス博物館にあったというシュトライヒャーもあり、ぜひ弾いてみたいと懇願したところ、弾かせていただきました。ウィーンアクションのピアノとしては奥行260cmほどある大きな楽器で、響きも豊か。高音はベーゼンドルファーを思わせる金属的な質感の気持ちよい音色で、ブラームスはこういう感じの楽器を弾いていたんだろうなあ、と想像してしまいました。


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