ハンデルのロデリンダ

METでハンデル(ヘンデル)を見た。バロックオペラは上演が難しいというが、今シーズン、ロデリンダが取り上げられ、とても嬉しい。

はじめモダンオーケストラの鳴りは、映画といえどやはりバロックとしてはキツすぎると感じたが、時間を経るとともにだんだんまろやかになっていったように思う。第3幕ではもう自然に感じた。ピケットの手腕、やはりたいしたものだ。

タイトルロールのフレミングはバロック大丈夫か?と懐疑的だったが、なかなかどうして悲しい場面など聞かせてくれる。第2幕最後、ショルとのデュエットは本当に良かった。第2幕はこの別れのシーンまでは比較的冗長に感じたが、この終曲はバッハを思わせる音楽で「辛さ」がしんしんと伝わる。バロックのダ・カーポ・アリアの効果の素晴らしさを痛感する。繰り返すことで感情のひだが広がり、高まっていく。装飾の意味もここに極まる。

演出のワズワースは、水平移動の舞台を用い、大きな劇場でのバロックオペラ上演を可能にしたというが、ダ・カーポの際に演技を先に進めることでストーリーの流れを停滞させず自然に見せる手法を取っている。しかし重要な第2幕最後の場面などはむ場面を進行させず、むしろダ・カーポをじっくり聴かせてくれるあたり、にくい演出だ。

メゾソプラノのステファニー・プライズには驚いた。広い音域でまるで逆カストラートのような表現力。マツコ・デラックスかと思った(笑)。


img 4

made by satoru sunahara