温度差

このところ寒暖の差が激しい。今日などは真冬の寒さ。先週は20度あったのに。


話は変わるが、今年の芥川賞の2作品は、この寒暖の差のように対照的なもので興味深く読んだ。


西村賢太の「苦役列車」は今年の流行語大賞になったりして。石原慎太郎が「現代のピカレスク」と評した。ピカレスク・・16世紀スペインの悪漢小説とされるものらしい。「ラサリーリョ‐デ‐トルメスの生涯」などがある。この悪漢小説もそうだが、私小説というジャンル?があるのも初めて知り、興味がわく。早速、田中栄光なども読んでみた。いい。肌に合う。僕も卑屈なんだ(笑)。


朝吹真理子の「きことわ」は、小説というより絵画的で、多分に五感に訴えてくる。池澤夏樹は選評でこの作品を絶賛していて「きことわ」のことについてしか書いていない(笑)。音楽的であるという評もあったが、僕にはあまりそういうふうには感じられなかった。なぜなら読み進みづらかったから。悪い意味でなく、そこに描かれた像に浸って立ち止まってしまうのだ。


作家もずいぶんと違うキャラだね。

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