能の講話会

京都国際会館で「能の花を語る」という講話会。昨年も伺った。

今回のテーマは「禅竹の描く平家の女性達」。観世流シテ方の河村晴道さんが、4つの演目を題材に、金春禅竹の世界を語る。

「熊野」(ゆや、と読む)、「千手」、「小督」(こごう)は禅竹の作。「大原御幸」は作者不詳とされながら、晴道氏が禅竹のものと推測している。どの作品も、女性がただ一人の愛する人を思うもの。最後は後ろ姿を見守るシーンで終わる。そしてその対象者は実際には舞台に登場しない。想像力が悲しみをいっそう強める。


戦国の世にありながら、戦争を肯定しない。社会的大義に傾きがちな男性の視点より、「人間性」を見る女性の価値観に本質を見て、人命の大切さを描く禅竹。禅竹には修羅ものがひとつもないと言う。

昨年、元雅が修羅能において戦を肯定しない態度についてお話されて感銘を受けたが、禅竹もまた、彼独自の流儀で描く諸行無常の世界に深く共鳴した。

またこういう出来事がほとんどこのあたりで起きたということにも。


3月22日に京都観世会館で晴道氏の「自然居士」を見ることができる。

http://www.kyoto-kanze.jp

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