METライブ・ビューイング

メトロポリタン・オペラのライブ・ビューイング初体験。ドニゼッティの「アンナ・ボレーナ」。チューダー朝の悲劇の王妃アン・ブーリンをめぐる話。映画の「ブーリン家の姉妹」にあるように、本当に面白いところはアン・ブーリンが野望に燃え、王妃になるまでの経過とその末路の落差であるように思うのだが、このオペラではアン・ブーリンが王妃になった後に落ちぶれていくさまを中心に描く。またアンに同情的であるように思えた。


スクリーンでオペラを映すことは単純作業ではないだろう。映像の編集、さらに当然ながら音響でも丁寧な編集が必要だろう。踊りのシーンでは床の軋む音、聴衆の反応、演者の遠近感等、舞台とは違った演出が必要で、それなりに労力とコストがかかるものに違いない。そういう苦労も垣間見られて楽しかった。


ドニゼッティといえば「愛の妙薬」や「ランメルモールのルチア」などは比較的多く上演されるが、このオペラは珍しい。後半第2幕、囚われた後のアンナの歌う壮絶なアリアが聴きものだが、そこに至るプロセスと最後の締めを含め、ドニゼッティはオペラ全体のまとめかたを熟知していたと思える。少々常套的ではあるが。


まだいくつか興味のある演目があるので、またチェックしてみよう。


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