箏ライブ

西荻窪にあるライブハウス「音や金時」で丸田美紀さんの箏ライブ「植物文様」を聴く。特に今回、曲ごとにさまざまな調律が使われたのが面白い。

京芸の博士課程に在籍の作曲家・増田真結さんの新曲はイスラム音楽を思わせる音律。中川佳代子さんの弾く箏と歌がそれに絡む。

30歳ほどで早逝した芦川聡(ブライアン・イーノにいち早く注目した)のプレリュードはピタゴラス音律。高いEが和音に溶ける。

満を持して登場した藤枝守氏の植物文様、もともと箏から多くのインスピレーションを得ている。3度を純正に合わせた調律や、氏が独自に編み出した調律など、響きの多様性を聴かせてくれた。ジャズのブルーノートを思わせるような音程や、ギリシャの古代旋法のような狭い音程など、馴染みは薄いはずなのに何故か心地がいい。

箏歌「般若心経」では丸田さんの歌声に本当は客席で聞いているだけのはずの藤枝さんの声も絡んできた。伊藤比呂美さんが訳したテキストに入っていったのだろう。現代人のための経典として成り立ち得るかも知れない。


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