レトロ・ミニピアノの新鮮味

梅雨入り前のさらっとした初夏の爽やかさが残る晴天に恵まれた週。

水曜日は名古屋のピアノ工房で、ミニピアノの調整の具合をチェック。初めて4月に見たときより、かなり弾きやすくなっていたが、まだ満足できない部分もあり、調律師さんと相談しながら、いろいろ工夫してみる。すると、だんだんいい状態になってきた。京都の研究室にまもなく入ります。

このミニピアノがきっかけで、戦前の日本のピアノ製作事情が知りたくなり、「日本のピアノ100年」を読んでいる。明治維新以降、洋楽が導入されてからピアノが人々に浸透していくまでは、まさに激動の時代。このミニピアノにも間違いなく、黎明期の製作者たちの不器用ながらも未知なものに挑むスピリットが込められている。

翻って現代のピアノ製作は少し停滞、マンネリ化しているように思えてならない。もちろん、現代においてもさまざまな試みがあり、並々ならぬ努力が払われていることは承知している。

しかし鍵盤市場はエレクトリック寄りで、そちらはどんどん新しいものが出るが、アコースティック楽器は保守的でほとんど変化してないように見える。

混沌とした現代、このシンプルなミニピアノは、却って新鮮な存在。作りにおいても響きにおいてもどこか刺激的だ。

R0012386.jpg



made by satoru sunahara