八朔

最近、八朔をよく食べる。柑橘類の中では地味な存在。しかし、食べる柑橘の中でいまいちばん好きなのは、間違いなくハッサク。今日はハッサクを讃えてみよう。


酸味と甘み、そして苦み、この三者のバランスがいい。しかし感動的な味ではない。何気ないのだ。野菜に例えるなら小松菜の地位。八百屋やスーパーに置いてあっても、決して目立つことがない。伊予柑やオレンジのような鮮やかな色ではない。オレンジと黄色の中間。しかもくすんだ色だ。瑞々しさがない。いつから置いてあるのか、もしかしたら古いものかも知れない、という疑いをもってもおかしくない色。要するに華がない。価格も安い。


そもそもハッサクとは何だ? 伊予の柑橘だから伊予柑、夏のみかんだから夏みかん、舶来の柑橘だからオレンジ、ぶどうのように群れて育つグレープフルーツ、ぽんかんですら無理やりな名前ではなく何となくしっくりくる。しかしハッサクとは何だ?


調べてみたら、八朔とは八月朔日、つまり8月1日のことで、昔はいろいろいわくがあっておめでたい日だったらしい。有り難い日に、有り難くいただく柑橘だったのだ!それなのにこの華のなさったらどうだ。


しかし目立たないものの常か、飽きが来ない。水分がそこそこなので、手がベチャベチャになることもない。1コ食べたらもう要らない。ちょうどいい。みかんを1コではなかなか止められないではないか。


ライバルは夏みかん。あまり見分けがつかない。夏みかんも好きだが、ちょっとかっこつけてる感じがする。少しだけ黄色いし、ガラのついたビニールにくるまれていることもある。味も少し酸味が強く、スカッとしてクール。まさに夏に似合う柑橘。そこへいくと八朔は少しダサイ。ハッサクという音が、サクがいかん。田吾作を連想させる(させないか)。そんな八朔が大好きだ!!


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